以前blogのデザインをさせていただいた
家具デザイナーの伊藤陽子さんの名刺の素材をどうするか
考えていて、白羽の矢が立った富山の伝統的な越中和紙の一種
「蛭谷和紙」のサンプルを、
400年続いた伝統工芸の担い手である川原さんから受け取りました。
サンプル発注から、実に半年以上。
なんでって、この和紙、決まった時期にしか作れないのです。
材料のひとつトロロアオイの粘度を抑えるために
冬の厳しい寒さのなかで紙を漉きます。
川原さんは普段は山奥で和紙の原料となる植物を育てて
秋に収穫、冬に紙をすいて、春にこうして売りに来ます。
普段は山に一人暮らしなんです。


写真:銀座手仕事直売所より
和紙は決して大量生産できない
日本の里山の自然と、そこに暮らす人の生活のリズムが生み出した
文化の結晶であることがよくわかりました。
川原さんは農業もしています。
昔は半農半工があたりまえ。
農が支えになれば、
内容がうすいけど、多くのものをつくり、
薄利多売していく方式から、
じっくりと納得行くまで良い製品をつくれる、
古来の日本型のものづくりになりそうです。
じゃあ、デザイナーは?
さて、この蛭谷和紙、普通の印刷技術ではなかなかきれいに仕上がりません。
活版印刷ならできる、と川原さん。
「古い素材には、古い技術を使えばいいんですよ。」
活版も最近かなり流行っていますよね。
古い技術と素材でしかできない味を持ちつつ、
今のデザインとうまく融合させていきたいと
思っています。
自分の名刺も次は蛭谷和紙かな。
ちなみにサンプルが欲しい方、
少し持っていますからお見せ出来ます!
だれともかぶらない名刺、どうでしょうか。
紙の繊維が、なんとも懐かしく、あたたかい風合いですよ。