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タイはバンコクのデザインスクールでデザインやアートディレクションをタイ人の学生さんに教えて、

トータル二ヶ月が過ぎました。(頻繁に日本に帰っているので合計そのくらいです。)

文化も言語も違う人たちとデザインについて一緒に考えたり悩んだりして見えてきたことがあります。

まだまだこれから深く知ることもあると思うのですが、現時点での僕の考えを述べたいと思います。

(もしかしたらこれから二転三転するかもしれないしね!)

 

タイ人のデザイン能力は高いか低いか。

 

答えはイエスであり、ノーです。

タイは工業大国であり、伝統的に手先の器用さを生かした工芸品がたくさんあります。
また、世界中の工場が集まっている事からわかるように、
手を使った作業の能力は非常に高いと言えます。

 

これは、街のどこにでも出ている屋台のフルーツ屋さんのパイナップルです。

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このようにカービング(彫刻)が施されたフルーツが50円程度で手に入れることができます。

特別なスキルじゃなくて、そのへんのおじさんおばさんがこれをやっているんですね。

庶民の一人ひとりの手先の器用さがかなりのレベルに達しているってことだと思います。

 

寺院に行けば高度な装飾がどこでも見れますね。

 

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ですので、経験の浅いデザイナーでも表面的には一見ベテランであるかのような物を作る事ができたりします。

Photoshopやillustratorを使わせると、細かいTipsや、時短テクニックを本当に良く知っていてびっくりします。

逆に僕はそういうのがあまり詳しくない方ですから、僕のほうが勉強になるくらい。笑

 

短時間で技術を習得する能力は日本人の遥か上を行きます。

 

そんな彼らですから、僕は最初の授業のとき、

タイの学生さんはすごい。いずれ世界を席巻しちゃうんじゃないか、と思ったんですね。

 

 

でも、実際はそう簡単にはいかない、ということがだんだん分かって来ました。

 

 

 

デザインを通じての問題解決が苦手な学生さんたち。

 

もちろんタイ人に限らず、デザインを初めて間もない頃は誰しも、デザイナー=アーティストのようなもの

と考えてしまいがちです。

ですが、他の国のクリエイターと比べたとき、割と長くデザイン業界に携わっている人でも

タイの場合そういう捉え方をしているケースが多いのです。

 

そんなわけで、この国では デザイン=問題解決の手法 という認識はあまりありません。

 

これには色々な原因があると思っていますが、

先ほど述べたように非常にテクニックに長けた文化をもっている人たちであると同時に、

タイ人特有の自分大好き!国民性にあるような気がします。

 

 

 

自分大好き。Facebookにアップする写真は大体自分。

 

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(コンビニには美容雑誌、CMはコスメ関係が非常に多い。日本のファッション誌も。)

 

 

タイの人はいわゆる自撮りだいすき。

日本のプリクラのようにFacebookに自分の写真をアップします。

また、化粧品や美容用品など、自分の見た目をよくしてくれるものに高い関心を持っています。

 

男性でもトイレにいくと鏡の前で何分も髪型を直している人がいっぱい。

 

そういえば、ニューハーフの人たちも非常に美容に関心が高いですよね。

 

こうした見た目重視、内面はその次的国民性は、建築物やまちづくりにも現れていて、

大きなビルディングの内装が素晴らしい大理石で作られていても、掃除用具入れの扉をひらくと

かびだらけの打ちっぱなしコンクリートの壁が広がっているという光景がしばしば。

 

 

 

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こういうところがデザイン作業にもしばしば現れてきたりします。

 

授業で製作物を作らせてみると、コンセプトメイキングにかける時間はたった数分。

あとは、ひたすらディティールに凝りだして、ずっと完成度を高めていきます。

 

「コンセプトそれだけでいいの?他に参考資料とか見なくていいの?」と聞くと

「俺のアイデアのほうが優れている!任せてくれよ!」と自信満々。

(自分大好きだから)

 

そして。出来上がるものも、見た目はそれなりに、というか結構見栄えのするものが出来上がるのです。

ただし、役に立つのかどうか、それはまた別の問題。

 

ある人から見れば、デザイナーなんてそんなものだ。

だれかがアートディレクションやクリエイティブディレクションをすれば、

それでいいじゃないか。デザイナーは手先の器用さが命だ、という意見もあるかもしれませんが、

 

表面だけを作るデザイナーだからこそ、それが何のために存在しているのか、

これを作ることで誰を幸せにするのか、しないのか、ということに敏感であるべきと僕は思います。

 

出来上がるもののどこかにそれは必ず現れるはずです。

 

 

デザインをさせないことでデザインを教える。

 

そんなわけで、僕の当面の課題は、いかにデザインをさせないでデザインをさせるかということ 笑

デザインの背後にある、人と人との関わり方について、僕ももう一度、彼らと一緒になって

考えていきたいと思っています。

 

最近試行錯誤してでてきた方法は、パズル。

デザインパーツを予め作って、学生さんはストーリーに沿ってそれを並べるだけ。

 

一見簡単なはずのこの課題、かなり時間をかけて考えていてくれました。

他にも色々考えていきたいと思っています。

 

 

あ、誤解のないように言っておくと、こうしたタイ人の自分大好き気質は、

ある意味では、非常に健康的だと思っています。

自分アピールに対して社会全体が寛容だということですよね。

 

もちろん、そんなことにはすぐに飽きて、

もっと大事なことに関心を払うのが一番だと思うのですが。

 

自分を出さない事を美徳としているせいで、鬱屈してしまい、かえってそれに縛られている人が

日本にはいるかも知れません。そういう点は日本は見習ってもいいのかもしれないです。

 

以上が、二ヶ月目で見えてきたです。

 

タイでデザインを教えること。

そんなこんなについて、

タイに在住予定、WordPress王子こと、西川君のお散歩ラジオで、

市角が語っております。

もし興味があれば、こちらもご覧になって下さい。

 

第34回 グラフィックデザイナーで占い師でタイのデザインの先生なhoxaiこと、市角壮玄さんにお話を伺う!

http://thai.osampo-radio.com/2013/10/19/609/